殺人出産 村田沙耶香
概要
十人産んだら、一人殺せる世界。殺人のために子を産み続ける人は、産み人、と呼ばれ崇められている。殺人に対する価値観も変容しており、社会貢献度の高い行為とされている。主人公の姉は産み人であり、無差別殺人志向がある。産み人制度を是とする価値観を一歩引いた目で見る主人公の前に、かつての殺人が悪という価値観を取り戻そうと活動する女が現われて、姉はその女を殺人対象に選ぶ。姉の身体は繰り返される出産で弱っており、主人公に殺人を手伝わせる。殺人の最中、殺される女の身体の中に、もう一つの命が宿っていたことに気づいた主人公は、償いとして自分が産み人になる決意をする。
感想
作者は常識改変を行い、我々に常識の根拠薄弱さ、踊らされる大衆の愚かさを問う。しかしながら、それが世の流れというものであり、逆らうものは排外されてしまうという展開はコンビニ人間などにも見られた通り。
殺人という題材を持ってくるあたり上手いですね。