面白い分析、つまらない分析、どうもいい話

小説・アニメ・映画などの、面白いとつまらないを分析するブログです。分析などと大層なことを言っていますが、アナリストでも何でもないので暇人が適当なことを備忘録としてつらつらと書いていくだけの、あれです。正確性は二の次です。記憶ガタリをすることもあるでしょう。後、どうでもいい話も挟みます。

不思議の国の男子 羽田圭介

概要

A(秋葉原)のアダルトショップに入り浸る陰茎の小さい仮性包茎の主人公が、幼馴染の南におつかいを頼まれた帰りに、たまたま18禁ゲームショップから出てきたところを目撃される。それが主人公の尊厳を傷つける結果となるが、主人公には二歳年上のナオミという女がいた。彼女との関係は実に奇妙で、ラブホに行ってアダルトグッズを使ってSSという、どちらもサドでなぶり合ってセックスには至らない。ひょんなことから、ナオミの存在を周囲にばらしてしまった主人公は、周囲の励ましもあって童貞を卒業するため、空演奏のライブを計画する。ライブは成功し、その後、普通のホテルに行き、ナオミと行為に至ろうとするが結局、できずに外食をして終わる。

 

面白い点

秋葉原をAと記号として扱っているが、これはかつてのジャングル的電気街の秋葉原からチェーン店やアニメショップによって整地された秋葉原に変わってしまった主人公の戸惑いであり、これはまさしく子供(童貞)から垢抜けた大人への成長への戸惑いにも等しい。主人公の記号的な愛の否定。出所の分からない探求心。下ネタという共通話題に好意的で、将来の話題には否定的。SSの子供っぽさ。すぐ交尾しようとする主人公に対するナオミの絶望的な態度などがこれを表しているのではないか。ラスト、主人公がナオミとセックスしようとするとき、その性器ジャングルの前にたじろいでしまう。結局、大人になれない主人公。そういった種々がどこに着地したのかと言えば、Aのエロタワーが可愛いと思えるようになった、らしいので、恐らく童貞と仮性包茎を受容し、過剰な下ネタや性に関する虚栄から脱却して、将来のことを考える高校生の道を歩んでいくのだろう。

・アダルトショップからのスタート。

・主人公の虚栄が痛快である。年上のナオミに最終的に勝てないなども含め、こういった愚かな主人公を持ってくることで、読者の嘲笑を誘う。

・南の恋愛と対比して、子供(SS)と大人の恋愛の差を示す。

つまらない点

安部公房みたいな全体的な迷路感、ジャングル感があればよかったかも。とはいえ、日常系の枠を出ない事による子供の遊び感があるので、トレードオフになってしまうかも。青春の成長物語としては、これが正当か。

・文章で驚かされたということがなかった点。

 

その他

・ナオミは痴人の愛からだろうか。

・文量はちょうどいい。