面白い分析、つまらない分析、どうもいい話

小説・アニメ・映画などの、面白いとつまらないを分析するブログです。分析などと大層なことを言っていますが、アナリストでも何でもないので暇人が適当なことを備忘録としてつらつらと書いていくだけの、あれです。正確性は二の次です。記憶ガタリをすることもあるでしょう。後、どうでもいい話も挟みます。

マウス 村田沙耶香

 概要

 小学五年生の主人公が、同じクラスの、みんなに馴染めない臆病な女の子にとある絵本を読み聞かせる。物語を聞いた女の子は、その物語の主人公マリーとして振舞うようになって、カリスマ性を獲得する。クラスの上位グループとも仲良くするようになり、主人公と少し疎遠になるが、街を少しだけ抜け出したくなった主人公に合流し、電車に乗り隣町くらいで降りて、雪食って小学生編終了。

 大学生編では、主人公と女の子が再会する。未だに絵本をライナスの毛布にしている姿を見た主人公は、女の子から絵本を引き剥がそうとする。そうして女の子はイベントコンパニオンの仕事をやめて、清掃のバイトを始める。その後、二人は喧嘩して、主人公が合わない服を買うなどして、主人公のマウス(臆病者)という自己認識がマウス(臆病者だけど可愛い)に変わる。

 

感想

 村田沙耶香らしい周囲に対して臆病な共感を誘いやすい主人公と、飄々としてはいるが、殻がないと臆病なヤドカリ系少女の二項対立。そこから二人の成長、自己承認が行われるわけであるが、この作者は物語展開というか構成というか、ちょうどいい狂気演出と主人公への共感演出が上手くて、あっという間に引き込まれてしまう。この点は見習いたい。